No.092:バイオマス(第4回)

バイオマス利活用の概要(2)

No.091:バイオマス(第3回)

バイオマス利活用の概要(1)

No.090:バイオマス(第2回)

『バイオマス』利用の現状

No.089:バイオマス(第1回)

『バイオマス』って何ですか

No.088:原子力(第10回)

複雑な中央と地域の関係

No.087:原子力(第9回)

これまでの原子力施設で起きた事故

No.086:原子力(第8回)

放射性廃棄物をどう扱うか

No.085:原子力(第7回)

高速増殖炉とプルトニウム

No.084:原子力(第6回)

核燃料サイクルと再処理

No.083:原子力(第5回)

将来における原子力の扱い

No. 104 update 2006.03.10 PDF版(109.3 kbyte)

風力発電(第4回)

風力発電(その4)

 今回は「風力の利用法」について考えてみたいと思います.

 最初に,風のもつエネルギーについて考えます.風は,質量を有する流体であり運動エネルギーを持っています.運動エネルギーは,以下のように物体の「質量」と「速度の2乗」の積の2分の1と表記されます(運動エネルギーの法則).

 風の運動エネルギー=(1/2)×(風の質量[kg])×(風速[m/s]の2乗)

 上式における「風の質量」は,所定の断面積を単位時間あたりに通過する空気の質量のことで,断面積[m2]と空気密度[kg/m3],および風速[m/s]の積として表記されます.

 風の質量[kg]=断面積[m2]×空気密度[kg/m3]×風速[m/s]

 上記の風力に関する基本式から以下のことが理解できます.

(1)風の運動エネルギーは断面積に比例する.
(2)風の運動エネルギーは空気密度に比例する.
(3)風の運動エネルギーは風速の3乗に比例する.

 風の運動エネルギーが断面積に比例することは,風車の受風面積をできるだけ大きくすることが有利であることを意味します.また,風の運動エネルギーが風速の3乗に比例することは,風速次第で風力が大きく変動することを意味します.

(出典:風力発電システム(その1)
http://www.seidensha-ltd.co.jp/~seiden/howto_windturbine1.html)


 実際の風力の利用法としては,(1)帆船等の動力源としての直接利用,(2)風車としての利用,があります.後者は,さらに風車の回転から機械的なエネルギーとして「動力」を得る方法と風車の回転エネルギーを利用して「発電」する方法に大別できます.

 風力利用の原型は紀元前3000年頃の帆船で,メソポタミアのエリドで発見された模型からの推定です.このタイプでの究極の形態は19世紀の半ばに活躍した排水量2000トンもあるクリッパーと呼ばれる高速帆船で,速度は20ノット以上に達します.

 一方,風車の起源は7世紀,ペルシャ人アブルルア(Abu Lulua)による垂直軸型(縦型)の製粉用で垂直軸の周りに短冊形の羽を放射状に付け,風はホイールの回転方向のみに当たるようにガイドされたものです.そして,私たちも風力の起源として印象づけられているヨーロッパでいわゆるオランダ型の水平軸型(横軸)風車は12世紀頃に出現します.

(出典:鈴木孝氏,http://www.comotec.co.jp/htm/square/essay/essay16.htm


 風力を動力あるいは電力として利用する場合,いずれにおいても風力原動機(ふうりょくげんどうき)が必要となります.風力原動機とは,風の運動エネルギーを,回転運動の機械的エネルギーへ変換する機械や装置(原動機)であり,一般に「風車」あるいは「風力タービン」と呼ばれています.
 
 風車の種類としては,水平軸タイプと垂直軸タイプがあります.

(1)水平軸風車
 −プロペラ風車 
 −セイルウイング風車 
 −多翼型風車 
 −オランダ風車 
 
 プロペラ風車は飛行機のプロペラと同じ翼形を持ち高速で回転する風車で,既存の風力発電等で馴染みのある風車です.セイルウィング風車は地中海のクレタ島付近に多く見られる三角帆を張った風車です.多翼型風車はアメリカ中西部の農村部を中心に揚水用として使用された風車です.オランダ風車は,羽の部分に帆をはってゆっくり回るタイプの風車で,国内でも導入事例のある風車です.

(2)垂直軸風車
 −ダリウス風車 
 −サポニウス風車 
 −ジャイロミル風車 
 −パドル風車 

 ダリウス風車は,飛行機の羽根と同じ断面を持つ翼形を弓形に曲げて垂直軸に取り付けた風車です.サポニウス風車は円筒を縦半分に切って円周方向にずらした形をしています.ジャイロミル風車は飛行機の羽根と同じ断面を持つ垂直翼形の風車です.パドル風車は風速計によく使われている半球形の受風面を持つ風車です.

(出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A2%A8%E5%8A%9B%E5%8E%9F%E5%8B%95%E6%A9%9F)

 「風車」は回転するだけで電気を起こすことはできません.「風力発電」を行うためには「発電機」が必要となります.この発電機は風車の回転エネルギーを電気エネルギーに変換する装置です.

 具体的には風車の回転力で発電機を回し,磁石の間におかれた導線を巻いたコイルを動かして発電を行います.風力発電用の風車としては,風力エネルギーの利用効率が高い等の理由でプロペラ型やダリウス型風車が利用されています.

[文責:スリー・アール 菅井弘]

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