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No.092:バイオマス(第4回)
バイオマス利活用の概要(2)
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No.091:バイオマス(第3回)
バイオマス利活用の概要(1)
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No.090:バイオマス(第2回)
『バイオマス』利用の現状
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No.089:バイオマス(第1回)
『バイオマス』って何ですか
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No.088:原子力(第10回)
複雑な中央と地域の関係
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No.087:原子力(第9回)
これまでの原子力施設で起きた事故
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No.086:原子力(第8回)
放射性廃棄物をどう扱うか
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No.085:原子力(第7回)
高速増殖炉とプルトニウム
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No.084:原子力(第6回)
核燃料サイクルと再処理
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No.083:原子力(第5回)
将来における原子力の扱い
No. 096 update 2005.11.01 PDF版(108.5 kbyte)
今回から「水素エネルギー」と「燃料電池」について考えてみたいと思います. 水素エネルギー(hydrogen energy)は,エネルギー消費による排出物が水であり化石燃料のように二酸化炭素やその他の有害生成物を発生することがないため,環境にやさしいクリーンな次世代エネルギーとして注目されています. 一方で,水素エネルギーの利用には,水素製造,水素貯蔵,エネルギー変換技術などの面で技術的な課題も非常に沢山残されています.また,水素エネルギーの位置づけ等については,ある意味で大きな誤解もあるように感じています. まず,水素生産および需要の現状について整理してみたいと思います. 世界の水素生産量は年間約5,000億Nm3(ノルマル立方メートルという単位で0℃、1気圧の条件下での立方メートル示します)と推定されています.大部分は天然ガス等の水蒸気改質という方法で生産されており,約40%がアンモニア合成,約20%が石油精製で消費されています.世界最大級の水蒸気改質プラントの水素製造能力は10万Nm3/h程度となっています. 日本では年間150〜200億Nm3の需要があり,ほぼ半分が石油精製で使用されています.エネルギー用としては宇宙ロケットの打ち上げ用に液体水素が年間300〜500万Nm3程度用いられています. また,製鉄,石油精製,エチレン製造プロセスなどで年間100億Nm3以上の水素が副生していますが,大部分は化学製品等の原料やエネルギーとして自家消費されています. 外販されている水素市場は2002年実績で1.3億Nm3程度の規模で,用途は弱電34%,化学21%,金属24%,硝子10%,その他11%となっており,そのほとんどが水素ガスとしての供給という形態になっています. 水素ガスの製造工場は国内にあり,水素源別の工場数では食塩電解系18工場,鉄鋼系6工場,石油化学系6工場,メタノール系5工場,その他4工場となっています.また液化水素製造工場は国内に2工場あり,水素源はそれぞれ食塩電解およびナフサ工場となっています. 一方,今後の水素市場の一つとして期待される燃料電池自動車市場については,燃料電池実用化戦略研究会は,2020年における燃料電池自動車の期待する導入目標を500万台(累積)としています. 500万台の燃料電池自動車が全て水素を搭載して走行すると仮定した場合,年間40〜50億Nm3の水素が必要になると見込まれています. 仮に,燃料電池自動車が将来的にさらに普及し,今日のわが国の乗用車保有台数約5,300万台の半数が燃料電池自動車となることを想定すると,さらにその5倍程度の水素が必要になる見込みです.定置型燃料電池などの水素需要も考慮すればその量はさらに増えることになります. 当面の需要は鉄鋼系,石油系の水素で賄うことが可能であり,供給形態としても高圧水素,液化水素などのオフサイト型(一般的に大規模な水素製造が前提となっており,消費地とは離れた場所にある大型設備を有する水素製造工場)での生産が先行するものと思われます. その後,家庭用燃料電池や燃料電池自動車等の普及に伴い,地域性,市場性に応じてオフサイト型,オンサイト型(水素を供給する場所(例えば現在のガソリンスタンド等に対応する水素ステーション)で種々の原料から水素を生産する分散型の水素製造施設)ステーションへと展開されるものと予想されます. ただし水素エネルギーシステムが本格的に普及した際の水素需要は,既存の供給能力を大きく超えるものと予想されます.今後,水素供給体制の整備が,水素エネルギーシステムを支える上で一つの重要な課題となります.
[文責:スリー・アール 菅井弘]
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