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No.033:年始のご挨拶(2003年)
日本の財政
No. 092 update 2005.06.03 PDF版(114.1 kbyte)
今回も引き続き「バイオマス利活用の具体例」として,「エネルギー」利用について考えたいと思います.全体的な利用状況を理解するため,まず一例である「燃焼」,「メタン化」,「エタノール化」,「ガス化」,「エステル化」について考えてみたいと思います.「燃焼」は,燃料として用いる「バイオマス」の直接燃焼,混焼,固体燃料化等に分類できます.いずれの方法でも,「エネルギー利用」としては,「燃焼」処理を行った際に生じた熱を直接利用したり,この熱を用いてボイラーで蒸気を発生させ,蒸気タービンで電気を得たりします. 酸素共存下での熱化学反応であることや,エネルギー効率面での制約が課題となりますが,技術的に実証された方法であり,積極的な活用が期待されています.秋田県能代市,宮城県石巻市,岩手県葛巻町に木質系燃料を用いた導入例があります.「メタン化」は,バイオマスから,燃料となるメタンガス(CH4)を取り出す技術の一つで,嫌気性菌によるメタン発酵を利用した「含水率」の高いバイオマスに対する処理法と位置づけることができます.最近は,「バイオガス化」という名称で呼ばれています.「嫌気性」発酵というのは,その名のごとく空気のあまりない条件下で行う「発酵」です.具体的には「湿式」や「乾式」等の種々の方法が提案されています.北海道滝川市,宮城県白石市,新潟県上越市や津川市等に主に生ごみを対象とした「メタン化」導入例が,また北海道別海市,京都府八木町に家畜糞尿を対象とした「メタン化」導入例があります.「エタノール化」としては,バイオマスを原料とする燃料用アルコール(バイオマスエタノール)の製造があります.バイオマスエタノール製造は海外ではアメリカ,ブラジル等で実用化されていますが,今のところ国内ではあまり注目されていません.食料用の農作物でさえ自給が十分ではない状況で燃料用の植物を栽培することは無理との観念が根強いのかもしれません. 実際,燃料用アルコールの利用は広い国土を有し、大規模な植物栽培が可能であるアメリカ,ブラジルでさえ,コスト面では不利なため税制優遇など政策措置が取られています.日本でも燃料用アルコールを実用化することになった場合には,広範囲な政策的支援が不可欠なようです. 次に,最近注目されている技術として「ガス化」があります.ここでは「バクテリア」等を用いた生物化学的な手法ではなく「熱化学反応」を利用した方法として位置づけます.特に木質系廃棄物等を対象とした「燃焼」処理の代替技術と考えることもできます. 無酸素あるいは低酸素濃度条件で「バイオマス」を熱分解し,メタン,水素,一酸化炭素等を生成させ,これらをガスエンジンに導入し,直接発電を行う技術です.酸素濃度の非常に低い条件での熱分解反応が中心であるため,ダイオキシン生成を回避できることや,ガス化生成物を直接エンジン内で燃料させることで,既存バイオマス発電の中心技術である「燃焼」と「ボイラー」を組合せた既存技術と比較してエネルギー効率面で有利,等の利点があります.「エステル化」としては,バイオディーゼル燃料(BDF)の製造があります.「エステル化」はあまり馴染みのない用語ですが,原料となる油脂にアルコール等を混ぜて反応させ,粘性や引火点の低い物質(エステル)を得て,ディーゼルエンジン用の軽油代替燃料として活用しようという手法です. ちなみにディーゼルエンジンは,吸入行程でシリンダー内に空気を吸入し,高温・高圧に圧縮してノズルから燃料を噴射し,自己着火によって爆発させるタイプのエンジンで,ガソリンエンジンのようなプラグによる点火は必要ありません. BDFは,石油から製造する通常のディーゼル燃料(軽油)とは異なり,バイオ原料を用いた再生可能な燃料です.原料としては植物性あるいは動物性油脂を用いることができ,廃食用油等を原料とすることで,これらの廃油による環境汚染も抑制できることも期待されています. また,BDFは石油起源ではないため,硫黄分を含まず,排出されるガスは硫黄酸化物(SOX)を伴うことがなく,また浮遊粒子状物質の排出も低減できます.滋賀県愛東市や京都府京都市に廃食用油BDF実証プラントの導入例があります. なお,次号からバイオマス利活用の「マテリアル」および「エネルギー」利用の具体例のいくつかについて詳細に考えるとともに,海外での現状についても調べることにしたいと思います.
[文責:スリー・アール 菅井弘]
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