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No.002:将来の社会像(第1回)
将来の社会像(第1回)
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No.001:発行にあたって
発行にあたって
No. 091 update 2005.05.17 PDF版(102.5 kbyte)
今回は「バイオマス利活用の概要」というテーマで考えたいと思います. 前回,ご紹介したとおり「バイオマス」としては家畜排せつ物,食品廃棄物,紙,製紙工場で発生する黒液,下水汚泥,し尿汚泥,木質系廃材・未利用材,間伐材・被害材を含む林地残材,建設発生木材,農作物非食用部等があります. これらの「バイオマス」はそれぞれ特徴を有しており,個々の特性により利活用法も異なりますが,特に含まれている水の割合により含水系,乾燥系とそれ以外に分類し,それぞれの特性に応じた利活用方法が提案されています. 具体的な利活用方法としては,「マテリアル利用(原料や素材等としての再利用)」と「エネルギー利用(燃料等を行うことでのエネルギー生産用の燃料としての再利用)」に大別されます. まず,「マテリアル利用」の具体例を以下に示します.(1)飼料化,たい肥化(2)ボード化による再生利用(3)炭化による再生利用「飼料化」の例としては,残飯のような家庭生ごみ等をそのまま,ペットや家畜の餌として活用する方法があります.しかし,実際には最近のペットの食事は人間以上に贅沢ですし,家畜の餌として用いると言っても,様々な衛生管理上の課題もあり容易ではありません. 非常に有効な方法と考えられますが,必ずしも簡単な訳ではありません.しかし,素材として活用できる点から,ある意味で理想的な手法とも言えます.北海道札幌市や山形県鶴岡市等に導入例があります.「たい肥化」は,「コンポスト」化とも呼ばれ,家庭用生ごみ処理等への導入も進められ,馴染みのある方法です.しかし,大量に処理する際には,たい肥化された肥料の用途確保も不可欠であり,決して万能な方法ではありません.「ボード化」は,その名が示すように廃木材を粉体等として,それを加圧成型して種々の複合材としての「ボード」を製造する方法です.木材の特性をそのまま生かす用途として有望と考えることができます.「炭化」は,バイオマスを酸素のほとんどない状態で熱分解,すなわち蒸し焼きすることで「炭」を製造する方法です.もちろん,得られる「炭」は材料により異なりますので,用途は素材に応じて検討する必要がありますが,脱臭剤,ろ過材,土壌改良材としての応用も期待されます.富山県富山市や鹿児島県屋久町に導入例があります. いずれにしても「マテリアル利用」は,「バイオマス」をできるだけ,素材としての特性を生かして活用しようとする方法で,利活用法としては優先して検討されることが望まれる方法と考えられます. しかし,特に含水率の高いものなど,「素材」としてそのまま利用できない場合,「エネルギー源」として活用する「エネルギー利用」を行うことになります.先述の「炭化」の場合でも燃料用「炭」として活用する場合には,この「エネルギー利用」のための変換ということになります. 具体的な「エネルギー」としての利用方法としては「炭化」の他,「燃焼」,「メタン化」,「エタノール化」,「ガス化」,「エステル化」等があります.これらの概要については次回の第92号でご紹介し,これらの方法のいくつかについては,第93号以降でより詳細に考えてみたいと思います.
[文責:スリー・アール 菅井弘]
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