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No.022:エネルギー(第6回)
水力発電
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原子力
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廃棄物
No. 090 update 2005.05.06 PDF版(128.7 kbyte)
今回は「『バイオマス』利用の現状」というテーマで考えたいと思います.『バイオマス』の将来性から,日本政府は、2002年6月25日に閣議決定した「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」に、『バイオマス』の利活用を推進する計画を盛り込みました。そして、「化石資源使い捨てニッポン」から脱却し、持続可能な循環型社会「バイオマス・ニッポン」への転身をビジョンとして明確にしました。 2002年7月30日には経済産業省、文部科学省、農林水産省、国土交通省、環境省が共同で、『バイオマス』の総合的な利活用(動植物、微生物、有機性廃棄物からエネルギー源や生分解素材、飼肥料等の製品を得ること)に関する戦略(「バイオマス・ニッポン総合戦略」)を策定し,2002年12月に閣議決定されました. このような国レベルでの総合戦略を踏まえて,各省や各自治体を中心に様々なプロジェクトが立ち上がっています.そこで,具体的な国内における「バイオマス」資源の例,年間発生推定量と現在の利活用状況を示します.バイオマスの種類ごとの年間発生量と利活用状況バイオマスの種類 年間発生量 現状家畜排せつ物 約9,100万トン 約80%をたい肥等利用.食品廃棄物 約2,000万トン 約90%は焼却・埋立処理.紙 約3,100万トン 約1,400万トンは焼却.製紙工場で発生する黒液 約1,400万トン ほとんどがエネルギー利用.下水汚泥 約7,600万トン 約40%が埋立.し尿汚泥 約3,200万トン 大半が焼却・埋立.木質系廃材・未利用材 約610万トン ほとんどが再生利用.間伐材・被害材を含む 約390万トン ほとんどは未利用.林地残材建設発生木材 約480万トン 約60%が未利用.農作物非食用部 約1,300万トン 約30%はたい肥等利用.(出典:「バイオマス・ニッポン総合戦略」2002年12月) 日本では,バイオマスの大部分を焼却や埋立で処理してきました.バイオマスに限らず,これまで一般廃棄物,すなわち家庭からのごみはどのように処理されていたのか,ということを振り返る必要があります.日米欧における一般廃棄物の焼却実施状況比較. 日本 米国 カナダ デンマーク ドイツ発生量(百万トン) 50.2(*1) 207 23.2 2.3 43.5焼却量(百万トン) 37.3(*1) 32.9 1.2 2.0 11.0焼却率(%) 74(*1)75(*2)16 5 23 25焼却施設数 1841(*3) 148 17 31 53統計年 (*1)1992 1993 1992 1993 1993 (*2)1997 (*3)1991 (出所:神力達夫著,活かそう生ごみ−生物系資源活用のビジョンと具体策−,日報出版株式会社,2003年10月1日発行,p.13) 日本は,これまで廃棄物処理と言えばとにかく「焼却」処理に偏りがちでした.「焼却率」の高さは世界的に見ると,極めて特異な存在です.日本の焼却施設数は諸外国と比較するとまさに桁違いであり,この弊害としてダイオキシン発生等も大きな問題となっています.「焼却」以外の選択肢としては「埋立」がありますが,既に処分場の確保が年々困難になっている状況を踏まえば,残された方法は発生量の「削減(リデュース)」か,「リユース」,「リサイクル」しかありません.その一例が,『バイオマス』を「廃棄物」ではなく「資源」として利活用することです. 日本では,「エネルギー」は海外から買えばなんとかなる,という考え方や,「廃棄物処理処分」の問題はできるだけ考えないようにしよう,という風潮が強かったように思えてなりません.日常生活への直接的な影響がない限り,考えずに済ませたい問題とも言えます. しかし,『バイオマス』は「エネルギー」と「廃棄物処理処分」の両者に深く関係するということから,日本の将来を考える上で,非常に重要なキーワードになるように感じています. 最近,ブリックス(BRICs)と呼ばれる有力新興国のことが話題になります.BRICsはブラジル、ロシア、インド、中国の4か国の頭文字をとった造語で,今後30年以内に,日本経済は規模のうえで中国はもちろん,インドにも抜かれてしまうという予測もあります. これらの国々の台頭は,世界のパワーバランスにも大きく変化をもたらすことは確実と言えます.このようなことが現実となった場合,世界のエネルギー需要が拡大し,エネルギーや食料の争奪戦が生じる可能性があることは容易に推測できます. 当面,『バイオマス』エネルギーでは利活用に係わるインフラが未成熟で,コスト的に『高い』ものとなる可能性があります.しかし,現時点でのコスト競争力が十分ではなくても「国産一次エネルギー」の確保という観点から国としての戦略的な取り組みが必要な分野と考えます.
[文責:スリー・アール 菅井弘]
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