No.102:風力発電(第2回)

風力発電(その2)

No.101:風力発電(第1回)

風力発電(その1)

No.100:年始のご挨拶(2006年)

「年始にあたって」

No.099:水素エネルギー・燃料電池(その4)

燃料電池

No.098:水素エネルギー・燃料電池(その3)

水素の製造

No.097:水素エネルギー・燃料電池(その2)

水素エネルギーの位置づけ

No.096:水素エネルギー・燃料電池(その1)

水素生産および需要の現状

No.095:バイオマス(第7回)

バイオマス利活用例(3)

No.094:バイオマス(第6回)

バイオマス利活用例(2)

No.093:バイオマス(第5回)

バイオマス利活用例(1)

No. 075 update 2004.09.17 PDF版(124.1 kbyte)

環境(第23回)

家電

 今回は「家電」について考えてみたいと思います.

 前回,パソコンについて考えました.既に「パソコン」も特別な機器ではなく「家電」製品の一つという感じを受けますが,「リサイクル」の根拠となる法律が異なっています.「パソコン」は「改正リサイクル法」と「廃棄物処理法」に基づきリサイクルされますが,家電製品は「家電リサイクル法」に基づきリサイクルされています.

 家電リサイクル法は正式には「特定家庭用機器再商品化法」と呼ばれる法律で平成13年4月1日施行されました.

 「特定」家庭用機器という名称に示すとおり,対象となる家電製品は限定されており,現在のところ『エアコン』『テレビ(ブラウン管式)』『電気冷蔵庫・電気冷凍庫』『電気洗濯機』の4品目です.ちなみに液晶式テレビやプロジェクションテレビは対象外となっています.


使用済みの家電製品の流れとしては以下のとおりの状況となっていました.

消費者から排出される家電製品  約60万トン/年(上記4品目) 

(回収経路)
市町村が直接回収        約12万トン/年(約20%)
販売店経由で市町村が回収    約12万トン/年(約20%)
販売店経由で処理業者が回収   約36万トン/年(約60%)
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合計              約60万トン/年

(最終処分)
直接埋立処分     約30万トン/年(約50%)
破砕処理後一部金属回収して廃棄 大部分


 家電リサイクル法では,これら4品目を積極的に回収するとともに,回収した家電廃棄物の再商品化を推進することになりました.

家電リサイクル法で設定された再商品化の目標

エアコン     60%以上
冷蔵庫・冷凍庫  50%以上 
テレビ      55%以上
洗濯機      50%以上 

 現在1年間で発生している「家電」ゴミ約60万トンの半分程度を回収し,直接埋立処分に回る量を30万トン以下にしようという試みと言えます.ちなみにし商品化には熱としてのリサイクルを含めないことになっていますので,最初から再商品化を念頭においた製品設計を行っていないと達成も容易ではないことになります.

 話は少し本論から離れますが,環境省から出されている国の物質収支データによると産業廃棄物や一般廃棄物として排出された廃棄物のうち最終処分(埋立処分)される廃棄物は約6,000万トン程度と推定されています.

 したがって,「家電」ゴミは廃棄物全体の約1%の部分に相当する部分を対象としていると理解できます.ちなみに公式に報告されている廃棄物の不法投棄は約40万トンであり,1年に発生する「家電」ゴミに匹敵する量となっています.この不法投棄40万トンという数値は氷山の一角に過ぎないと言われており,遥かにこれを超える量の廃棄物が不法投棄されていると考えられています.

 家電リサイクルを実施するに際して家電リサイクル法で指定法人となっているのが「財団法人家電製品協会」です.この指定法人が中心となり家電リサイクル法に基づく小売業者の,業務の管理・運用を効率的に支援するために設けられたのが「家電リサイクル券システム」です.

 また,その運用を行うために設置されたのが家電リサイクル券センター(略称RKC)です.家電リサイクル券は,この法律で定められた「特定家庭用機器廃棄物管理票」の役割をもっています.

 「家電リサイクル券システム」では,「料金販売店回収方式」と「料金郵便局振込方式」の2方式を採用しています.小売業者はどちらかの方式を選択できます.「パソコン」のリサイクルでも郵便局が活用されていました.最近,ローソンを舞台とした「郵便」と「宅配大手」の競合が話題となっています.回収システムの構築においては,民間会社の活用も必要と感じています.

 ところで,既にリサイクルが始まって3年が経過し,昨年度の実施状況は以下のとおりとなっています.

平成15年度特定家庭用機器廃棄物実施状況の総括(総合計)

               エアコン テレビ  冷蔵庫  洗濯機 

指定取引所での取引台数(千台) 1,584  3,550  2,664   2,662
再商品化処理台数(千台)        1,579    3,549   2,653    2,656 
再商品化等処理重量(トン)      69,686   96,435  153,531  80,169 
再商品化重量(トン)            57,058   76,025  97,119   52,288   
再商品化率(%)                 81       78      63       65

(出典 http://www.aeha.or.jp/02/JISSEKI15.pdf)

 ここで「指定取引所」という言葉が出てきました.私自身,よく理解できなかったのですが,メーカーが使用済みの自社製品(家電4品目)を引き取るための拠点を全国各地に設けており,ここに販売店で回収した家電廃棄物を搬入することになります.この拠点は「指定引取場所」といい,所在地は公表されています.

 メーカーは,松下,東芝を中心とする「Aグループ」とよばれる企業群と,三洋,ソニー,シャープ,日立,三菱を中心とする「Bグループ」という企業群に分かれて指定引取場所を設置しています.その数は,全国で各グループ約200カ所ということです.

 正直,概念として廃棄物の流れは理解できるのですが,実際の廃棄物の流れはそれほど単純ではなく,全体を十分理解できていません.しかし,全体的な印象として当初の再商品化率の目標を達成しており,回収システムとして徐々に社会に定着してきているという印象です.なお,一定期間を経過して時点で法律を改定することを法律に明示していることもあり,今後の一層の進展を期待したいと思います.

[文責:スリー・アール 菅井弘]

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