No.002:将来の社会像(第1回)

将来の社会像(第1回)

No.001:発行にあたって

発行にあたって

No. 074 update 2004.09.03 PDF版(136 kbyte)

環境(第22回)

パソコン

 今回は「パソコン」について考えてみたいと思います、

 「パソコン」はPersonal Computer, パーソナルコンピュータの略称で,もとは個人用の低価格のコンピュータ全般を指していましたが,現在では「PC/AT互換機」の意味で使われることが多いようです、

 「PC/AT(Personal Computer/Advanced Technology)」は1984年にIBM社が発売したパソコンで,内部仕様の多くが公開されたため互換製品が各社から発売され,事実上の世界標準となりました、現在MS-DOSやWindowsが動作するパソコンはこのコンピュータの設計を受け継いでいるので,それらを総称して「PC/AT互換機」と呼ぶことがあります、Macintoshなど少数の例外を除いて,現在のパソコンのほとんどはPC/AT互換機と考えられます、

 ちなみに「Macintosh」はApple社が1984年から販売しているパソコンで,文字入力でコンピュータを操作するMS−DOSなどのOSが主流だった時代に,グラフィック表示とマウスによる操作を標準機能として搭載したOSを備え,大きな反響を呼びました、Windowsシリーズに現在は敗れて決してメジャーな存在ではありませんが,かつてのユーザーとしてユーザーフレンドリーなパソコンの先駆として強く印象に残っています、

 さて本題ですが,国内におけるパソコンの出荷台数を以下に示しますが,ここ5年程度は1年で1300万台程度という状況のようです、

最近の国内パソコン市場調査(出荷台数;千台)

       1999  2000   2001   2002   2003

法人市場   6,010   7,203   7,312   6,494   6,985
個人市場      5,249   7,499   6,397   5,882   5,753
日本市場全体  11,259  14,703  13,709  12,375  12,738

(出典:ガートナーデータクエスト(2004年2月))
(出所:http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0325/gartner.htm)


 ところでパソコンの寿命は一体どの程度なのか,という疑問が沸いてきます、これに対する正確な解答はないようですが,コンピュータのリース期間は,一般的に5年程度となっています、しかし,リース期間満了後に再リース契約で引き続き物件の貸与を継続することが可能でコンピュータ・リース契約の場合,53%程度が再リースを受けているそうです、また,再リースの平均期間は約2年となっています、

 以上のような数値等を踏まえて,一般的にはパソコンの平均寿命は7年程度と推定されているようです、感覚的にはとても7年間使えるようには思えませんが,例えばワープロ機能のみを活用する場合や,専用の処理機能に限定した場合などには十分なのかもしれません、


 一方,使用済みパソコンの発生台数は以下のように推計されています、

使用済パソコンの発生台数(千台)

   1998  1999  2000  2001  2002  2003  2004
台数 1,903 1,766 2,382 3,348 5,704 7,192 6,851   

(出典:社団法人日本電子工業振興協会の調査資料)

 先のパソコン出荷台数と,使用済みパソコンの発生台数推計を踏まえると,近いうちに使用済みパソコンの発生台数は1000万台を超えるものと予想されます、

 このような状況を踏まえ,2001年4月より施行されていた,「資源の有効な利用の促進に関する法律」(改正リサイクル法)では事業系(法人ユーザー)から排出される使用済みパソコンの回収・再資源化が義務付けられていました、これが,省令改正により,2003年10月から,個人・家庭からの使用済みパソコンの回収・再資源化を行うことになりました、

 「パソコン」と「家電」は実は根拠となる法律が全く異なります、「パソコン」は前述の「改正リサイクル法」と「廃棄物処理法」により規制され,家電は「家電リサイクル法」により規制されます、

 パソコンも「家電」の一つという感じがしますが,これを敢えて別な法律で規制するところは,何とも日本的で複雑怪奇な感じがします、廃棄物関連の法律全般に共通するのですが,日本の規制は,「対象物」そのものの特性よりも,対象の発生場所,場合によっては対象物を発生させる当事者に対する監督官庁により法律が異なるという問題があります、

 ちなみに家庭系使用済み「パソコン」では,「有限責任中間法人パソコン3R推進センター」という名称の機関が平成16年5月に設立されました、パソコン及びパソコン用ディスプレイの製造メーカーや輸入販売事業者による「資源の有効な利用の促進に関する法律」に基づく3R(リデュース,リユース,リサイクル)を推進を支援することを目的としています、

 パソコンの回収・再資化に参加する企業(41社・平成16年度)の平成15年度及び16年度(4月〜6月)における「資源の有効な利用の促進に関する法律」に基づく使用済みパソコンの自主回収・再資源化に関する実績の合計値は以下のとおりです、


家庭系使用済みパソコン
再資源化実績(平成15年10月〜平成16年3月) 

※回収質量,回収台数は再資源化処理場への搬入実績を示している、

                    回収質量  回収台数 再資源化  資源再利 資源再利 
                     (kg)      (台)   処理量(kg) 用量(kg) 用率(%)
デスクトップ型
パソコン本体         276,674   22,917    276,674     215,926   78.0 
ノートブック型
パソコン             17,637    5,049     17,637      8,875     50.3 
CRTディスプレイ装置  557,179   31,545    557,179     405,743   72.8 
液晶ディスプレイ装置 10,811    1,739     10,811      7,009     64.8 

計                   862,301   61,250    862,301     637,555 


事業系使用済みパソコン
再資源化実績(平成15年4月〜平成16年3月) 

           回収質量   回収台数 再資源化  資源再利 資源再利
                     (kg)     (台)   処理量(kg) 用量(kg) 用率(%)
デスクトップ型
パソコン本体     2,479,843  226263    2148588     1676835   78.0 
ノートブック型
パソコン             405,536    131949    282111      141976    50.3 
CRTディスプレイ装置  3,822,967  232479    3339430     2431803   72.8 
液晶ディスプレイ装置 174,921    28334     125804      81567     64.8 

計                   6,883,267  619,025   5,895,933   4,332,180 


 「パソコン」のリサイクルは始まったばかりですが,回収・再資源化システムとして定着することは大いに期待したいと思います、その一方で,今後,さらに多くの使用済み製品のリサイクルが検討されてくるものと思いますが,できるだけリサイクル制度を共通化し,ユーザーの負担を軽減できるようなシステムとなることを願っています、

 ユーザーの一人として,高い性能にばかり気を取られてしまいがちな点は反省したいと思います、実際にパソコンの性能はここ数年で飛躍的に進歩しており,今後は多少長期間使用しても不便を感じずにすむ時代に入ってきたような印象も受けています、ちなみに自宅のパソコンはWindows95ですが,OSをアップグレードできる状態ではないので多少の不便さは我慢して今少し使い続けたいと思います、

[文責:スリー・アール 菅井弘]

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