No.062:環境(第10回)

オゾン層破壊

No.061:環境(第9回)

酸性雨

No.060:環境(第8回)

廃棄物処分と不法投棄

No.059:環境(第7回)

土壌汚染

No.058:年始のご挨拶(2004年)

日本の物質フロー

No.057:環境(第6回)

水質汚染

No.056:環境(第5回)

室内空気汚染

No.055:環境(第4回)

大気汚染

No.054:環境(第3回)

地球温暖化

No.053:環境(第2回)

国内の物質フロー

No. 053 update 2003.10.15 PDF版(102.6 kbyte)

環境(第2回)

国内の物質フロー

 今回は「環境」問題を考える上で重要となる「国内の物質フロー」について考えてみたいと思います.「国内の物質フロー」については環境省が公開していているデータがあり,平成12年度のデータとして以下の数値が報告されています.

入口側

自然界からの資源採取    18.4億トン
 国内における資源採取  (11.2億トン)
 海外における資源採取  ( 7.2億トン)
製品等輸入          0.7億トン
循環利用量(リサイクル)   2.2億トン
---------------------------------------------------- 
合計            21.3億トン

出口側

輸出             1.3億トン
新たな蓄積         10.8億トン
エネルギー消費        4.2億トン
食料消費           1.3億トン
最終処分           0.6億トン
減量化            2.4億トン
自然還元           0.8億トン
循環利用量(リサイクル)   2.2億トン
---------------------------------------------------
合計            23.6億トン

*出口−入口の差は水分取込みに起因する物質量の増加に相当します.

(出典:平成15年度版環境白書)


 上記のデータから,いかに大量の物質が流通しているかは容易に理解できます.物質フローの総投入量の入口側21.3億トンの内訳を見ると7.9億トン(約37%)が海外からの資源および製品の輸入に相当します.残りの物質フローのうち2.2億トン(約11%)が国内での物質循環で,11.2億トン(約52%)は国内資源の新たな採取によるものです.

 一方,出口側では循環される2.2億トン(約11%)と輸出される1.3億トン(約5%)以外は国内に滞留します.その内訳は4.2億トン(約20%)がエネルギー消費,残1.3億トンが食料消費,2.4億トンが減量化,0.8億トンが自然還元,0.6億トンが最終処分となっています.残りの10.8億トン(約50%)が国内蓄積の純増加です.

 ちなみに主要商品の輸入量は以下のとおりです

石炭      1.56億トン
原油      2.46億キロリットル
液化石油ガス  0.14億トン
液化天然ガス  0.55億トン

鉄鋼石     1.26億トン
非鉄金属鉱   0.14億トン

肉類      0.02億トン
魚介類     0.03億トン
小麦      0.06億トン
果実及び野菜  0.07億トン
大豆      0.04億トン
パルプ     0.03億トン

鉄鋼製品    0.06億トン
アルミ・同合金 0.03億トン

(出典:日本関税協会「外国貿易概況」,総務省統計)


 上記データから日本の輸入がほとんど天然資源であることが良くわかります.一方,輸出は輸入した資源をもとに加工した製品となり輸出されますが,その物量は大幅に低下し,国内に多くの物質が蓄積されやすい傾向があります.

 これら物質の中で廃棄物に分類できるものは以下のとおりです.

最終処分    0.6億トン
減量化     2.4億トン
自然還元    0.8億トン
循環利用量   2.2億トン
----------------------------------
合計      6.0億トン


 以上のような物質フロー特性の社会では,1)総物質投入量をできるだけ削減する,2)循環利用量を拡大することで廃棄物や将来廃棄物となる可能性の高い国内蓄積量を低減する,等の方策が重要となります.循環型社会形成を目指すわが国の様々な施策は,循環利用量の拡大を狙ったものであると理解できます.しかし,循環利用量の拡大は一つの選択肢ではありますが,前者の物質投入量(特に国内外からの資源採取量)の削減がより本質的な解決策となることは自明です.

 いずれにしても,国内での物質蓄積が起きやすい産業構造であるわが国にとって,例えば廃棄物処分場の不足や不法投棄の問題についても全体的な物質収支を改善することなく解決することがいかに困難であるかが理解できます.

 アメリカのような広い国土を有する国では大量生産,大量消費の矛盾が顕在化するまでは多くの時間を要しますが,日本のような国土の限られた国ではより早く,この矛盾点が顕在化します.資源を国内外で採取し,製品を輸入する加工貿易国としての宿命を乗り越え,今後の産業構造をどのように再構築するかが非常に大切な課題のように感じています.

[文責:スリー・アール 菅井弘]

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