No.032:エネルギー(第16回)

燃料電池

No.031:エネルギー(第15回)

氷雪冷熱

No.030:エネルギー(第14回)

廃棄物燃料製造

No.029:エネルギー(第13回)

廃棄物熱利用

No.028:エネルギー(第12回)

太陽熱利用

No.027:エネルギー(第11回)

バイオマス

No.026:エネルギー(第10回)

廃棄物発電

No.025:エネルギー(第9回)

風力発電

No.024:エネルギー(第8回)

太陽光発電

No.023:エネルギー(第7回)

地熱発電

No. 037 update 2003.03.01 PDF版(14.5 kbyte)

エネルギー(第21回)

まとめ

 今回はこれまで19回にわたり「既存エネルギー」,「供給サイドの新エネルギー」,「需要サイドの新エネルギー」について考えてきました.

既存エネルギー
・石油
・石炭
・LNG(液化天然ガス)
・原子力発電
・水力発電

供給サイドの新エネルギー
・太陽光発電
・風力発電
・廃棄物発電
・バイオマス
・太陽熱利用
・廃棄物熱利用
・廃棄物燃料製造
・雪氷冷熱

需要サイドの新エネルギー
・燃料電池
・天然ガスコージェネレーション
・クリーンエネルギー自動車

その他(メタンハイドレート等)


 既存エネルギーの中心はいわゆる化石燃料で,「石油」,「石炭」および「天然ガス」の資源量は以下のとおりです.


石油資源量

原始埋蔵量        約7.5兆バレル
究極可採埋蔵量      約2.1兆バレル
既生産量         7,567億バレル
残存確認埋蔵量      9,154億バレル(40.5年)*
採油増進技術による回収量 1,700億バレル(7.5年)
未発見潜在量       4,000億バレル(17.7年)
(出典:石油鉱業連盟)


石炭資源量

確認可採埋蔵量           10,316億トン 
年生産量                 44.7億トン
可採年数                  全世界 231年
(出典:世界エネルギー会議(1995年10月開催))


天然ガス,メタンハイドレート資源量

天然ガス確認埋蔵量          141兆m3(BP統計)
天然ガス究極可採資源量        328兆m3(Masters他)
在来型天然ガスの原始資源量      437兆m3(佐藤ら)
メタンハイドレートに含まれるメタン量 17,600〜40,000兆m3(Kvenvolden他)
(出典:エネルギー総合工学研究所のホームページhttp://www.iae.or.jp/DATA/TENBOU/1997-HIZAIRAI/0shou.html)


 これらのデータを見ると,地域的な偏りがあり国ごとの状況は大きく異なるものの世界全体としての化石燃料「資源量」には当面(ここ数10年程度)の不安がないようです.

 代替エネルギーとして導入された「原子力」,「水力」および「新エネルギー」の大部分は,「化石燃料」を投入して設備を建設する必要があります.しかし,代替エネルギーは一旦設備が出来上がればそれなりの準国産エネルギー供給を実現できる手段として位置付けることができます.

 しかし,大部分の代替エネルギーは「化石燃料」という基盤を失えば,機能が著しく低下する可能性があります.すなわち現時点における「代替エネルギー」とは「化石燃料」の延命策として機能している,と考えることが無難という気がします.


 読者(peaceful riverさん)から以下のようなご意見をいただきました.

「メタンハイドレートは,確かに国産の地下エネルギー資源として希望が持てますが,石油などの地下エネルギー資源が,CO2を増やし地球温暖化を推進するものとして大問題になっているときに,これ以上,CO2を増やす可能性を増大するメタンハイドレートの採掘はどうかと思います.メタンハイドレートを地上で燃やすとCO2が出ますし,そのCO2は地下には戻りませんので,地上でCO2が増え続けることになります.やはり,これからのエネルギーは,風力,太陽光,バイオマスなどの自然エネルギーに絞るべきと思います.」


 確かに,今後のエネルギー問題では「資源供給制約」以外に,「環境制約」が大きな問題となっています.この「環境制約」の面から「新エネルギー」が期待されています.しかし,「新エネルギー」が主役となるにはまだまだ時間が必要ということも事実と思います.

 いわゆる主要国の中で,「原子力」を除く日本のエネルギー自給率は4%と極めて小さいものとなっています.現時点で「原子力」という選択肢を外すとすれば「化石燃料」に代替するしか現実的な対応策はありません.この場合,エネルギー自給率は一層低下することになります.
 

主要国のエネルギー自給率の比較(1999年)

     原子力を除く 原子力を含む(単位:%)

日本   4       20
ドイツ  26      39
イギリス 112 123
フランス 10 50
アメリカ 65 74

(出典:Energy Balance of OECD Countries (2001))

 確かに「原子力」については様々な問題点が指摘されています.しかし,「原子力」については感情論ではなく,冷静な考察に一人一人が取組む必要があると考えています.フランスが何故「原子力」に傾倒しているかも上記の数字からある程度推察できます.

 「エネルギー」供給は,生命の基盤である「水」や「食料」の確保のためにも極めて重要な課題であることを忘れてはならないと思います.自然エネルギーが将来,エネルギー供給の主力となることは,「資源供給」や「環境制約」の問題を解消する上で理想的で,「向かうべき目標」としての異論はほとんどないと思います.しかし,目標までの道筋には様々な選択肢があると思います.
 
 私自身の個人的な見解としては,国内エネルギー資源の乏しい状況では,エネルギー源をできるだけ多様化しておくことが大切と考えています.また,エネルギーの無駄使いを徹底的に削減することも大きな課題と思います.


 なお,次号より当初の計画どおり,諸外国のエネルギー事情をできるだけデータに基づいて考えていきたいと思います.対象は以下の国々を考えていますが,随時追加させていただくかもしれません.

・中国
・韓国
・台湾
・アメリカ
・カナダ
・ドイツ
・フランス
・イギリス
・ロシア
・スウェーデン
・ブラジル
・インド
・エジプト

[文責:スリー・アール 菅井弘]

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