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オゾン層破壊

No.061:環境(第9回)

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No.060:環境(第8回)

廃棄物処分と不法投棄

No.059:環境(第7回)

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No.058:年始のご挨拶(2004年)

日本の物質フロー

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地球温暖化

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国内の物質フロー

No. 034 update 2003.01.16 PDF版(15.2 kbyte)

エネルギー(第18回)

天然ガスコージェネレーション

 今回は「天然ガスコージェネレーション」について考えていきたいと思います.

 まず,「天然ガスコージェネレーション」を考える前に,「コージェネレーション」について簡単に整理してみたいと思います.

 環境用語集(http://www.geocities.co.jp/NatureLand/1740/eco_word/eco_word_list99.9.htm)によると,コージェネレーション(Cogeneration)とは,熱と電気(または動力)を同時に供給するシステムのことと説明されています.欧米ではCHP(Combined Heat and Power)と呼ばれています.

 コージェネレーションは,発電と同時にそれに伴う冷却水や排気ガスなどを用いて熱供給を行います.この技術が注目される理由は,エネルギーの利用効率の高さ,つまり省エネルギー性の高さにあります.

 コージェネレーションシステムの特徴や実績については日本コージェネレーションセンター(http://www.cgc-japan.com/)のホームページが参考になります.

 コージェネレーションで用いる原動機には,ガスエンジン,ディーゼルエンジン,ガスタービン等があります.ガスエンジン,ディーゼルエンジンは電力使用量が比較的小さな施設,ガスタービンは電力使用量が大きな施設に導入されています.

      ガスエンジン ディーゼルエンジン ガスタービン

適用規模  10〜5,000kW  60〜17,000kW      600〜100,000kW
発電効率  28〜40%   30〜45%          20〜33%
混合効率  65〜91%    57〜87%           69〜85%
燃料    ガス      灯油・A重油      ガス・灯油・A重油

(出典:日本コージェネレーションセンター・ホームページ)


 民生用ではコージェネレーションの電力を建物内で使用するとともに,排熱を温水または蒸気として回収して給湯や暖房に利用したり,吸収式冷凍機を介して冷房に利用する方法が一般的です.発電容量が比較的小さく,発電効率の高いガスエンジンやディーゼルエンジンを用いたシステムが主流となっています.

 一方,産業用では構内電力用として発電するとともに,排熱を用いて蒸気を発生させ,生産工程で利用します.そこでは発電容量が大きく排熱回収率の高いガスタービンシステムが使われます.

 以下にコージェネレーションシステム導入状況に関するデータを示します.

民生用業種別設置件数(2,381件) 
2002年3月末現在

ホテル       17%
病院        15%
店舗        14%
事務所       10%
スポーツ施設  9%
福祉施設      6%
浴場         6%
研修所/保養所 5%
その他       18%

産業用業種別設置件数(1,470件)
2002年3月末現在

食品         18%
化学         18%
機械・精密   13%
電気機器     10%
鉄・非鉄金属  9%
繊維          6%
紙・パルプ    5%
エネルギー    4%
窯業          3%
その他       15%

年度別発電容量・設置件数(累計)
   
        発電容量(MW) 設置件数(件)

1980     100以下    100以下
1990    2,000     1,200
1995    3,500         2,100
2000    5,600         3,600  
2001    6,100         3,900

年度別新設発電容量・設置件数

        発電容量(MW) 設置件数(件)

1980   120       10以下
1990    450           300
1995    320           190
1999    425           320
2000    450           400
2001    460           320 

(出典:日本コージェネレーションセンター・ホームページ)


各国のコージェネレーション導入実績,目標値

     1994年実績(MW)  最新実績(MW)   目標(MW)

イギリス  3,042      4,239(1999年)  10,000(2010年)
フランス  2,921      3,170(1996年)   4,500(2005年)
ドイツ  26,184      22,543(1996年)
イタリア  6,328           7,673(1996年)
オランダ  6,148           7,400(1996年)  14,000(2020年)
E U   65,793          67,674(1996年)    
アメリカ 50,594(1995年)  54,240(1997年) 100,000(2010年)
日本     3,500(1995年)   6,100(2001年)  

(出典:通商産業省総合エネルギー調査会受給部会中間報告,著作権者:通商産業省)

 コージェネレーション用燃料としては重油等が用いられますが,これを天然ガスに置き換えることで燃焼時の二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)排出量を抑制し,硫黄酸化物(SOx)を排出しないシステムが実現できます.これが「天然ガスコージェネレーション」を「需要サイドの新エネルギー」として位置付ける理由と考えることができます.ちなみに導入目標値は以下のとおりです.

天然ガスコージェネレーションの導入実績および目標

1999年度実績 2010年度見通し/目標         2010(目標)/1999 
        現行対策維持ケース  目標ケース 

152万kW    344万kW        464万kW      約3倍 

(出典:資源エネルギー庁ホームページ)


 天然ガスコージェネレーションは,1981年に東京国立競技場に設置され,1990年前後にかけて導入が拡大しました.1999年3月末の稼動実績は,累計で1,030件183万kW(スチームタービンを含む)であり,分野別では民生用682件(38万kW),産業用348件(145万kW(スチームタービンを含む))となっています.

(出典:新エネルギー財団ホームページ
http://www.nef.or.jp/enepolicy/pdf/newene_19.pdf)

 海外に目を向けると,例えばデンマークは省エネルギー政策とともに,熱供給法(1979年施行)の施行によって,発電所,工場及びゴミ焼却場等の排熱を活用する地域熱供給ネットワークを推進してきました.1990年代に入って,主要な都市に大規模なCHPが建設され,7年間あまりでCHPプラントが1991年の40ヶ所から1998年には275ヶ所まで増加しています.現在では暖房需要のうち60%前後は地域暖房となっています.


 「天然ガスコージェネレーション」に限らず「コージェネレーション」システムの特徴は一次エネルギーの利用効率の高さにあります.現在,日本では「コージェネレーション」システムの導入拡大を中心に取組んでいますが,今後,地域熱供給ネットワーク化の推進等を併行して取組むことで,より効率的な熱供給が可能となり,社会システム全体として「省エネルギー」効果が期待されます.

[文責:スリー・アール 菅井弘]

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