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No. 033 update 2003.01.01 PDF版(140.8 kbyte)

年始のご挨拶(2003年)

日本の財政

 新年明けましておめでとうございます.

 2001年9月より配信を始めましたメルマガ「人間と環境・エネルギー」では,これまで「将来の社会像」や「エネルギー」について考えてきました.しかし,まだまだ私自身,考えを整理できるような状況ではありません.変化の激しい時代にはそぐわないかもしれませんが,今年もマイペースで継続していきますので,読者の皆様にもご一緒にお考えいただければ大変嬉しく思います.

 新年を迎えるにあたり,私自身が最近感じている疑問があります.具体的にはメディアを通じて見聞きする国内の「政治」や「経済」動向に関することです.例えば「経済」問題は,私自身,全くの素人ですから状況を正しく理解できるとは考えていません.

 しかし,時として国内で行われている議論が全く理解できない気持ちになります.「経済」が最も大切な問題という訳ではありませんが,日々の生活に大きく影響することは確かです.とりあえず最近,気になっているデータをご紹介します.


国内総生産GDP(兆円) 

1970年度    75兆円
1975年度   152兆円
1980年度   249兆円
1985年度   330兆円
1990年度   451兆円
1995年度   501兆円
1996年度   515兆円
1997年度   520兆円
1998年度   513兆円
1999年度   514兆円
2000年度   513兆円
2001年度   501兆円(2次補正後)
2002年度   496兆円(予算)

(出典:財務省ホームページ)


国・地方の債務残高の変遷

1970年度    7兆円 
1975年度    32兆円 
1980年度   118兆円 
1985年度   204兆円 
1990年度   265兆円 
1995年度   410兆円
1996年度    449兆円
1997年度    492兆円
1998年度    553兆円
1999年度    600兆円
2000年度   646兆円
2001年度   675兆円(2次補正後)
2002年度   693兆円(予算)

(出典:財務省ホームページ)


国債残高と利払い費試算(単位:億円)

会計年度  国債残高  利払い費用

2001年度  389兆円     10.37兆円
2002年度    418兆円     11.10兆円
2003年度    448兆円     11.75兆円
2004年度    483兆円     12.44兆円
2005年度    514兆円     13.39兆円
2006年度    544兆円     14.28兆円
2007年度    573兆円     15.20兆円
2008年度    599兆円     16.27兆円
2009年度    629兆円     17.33兆円
2010年度    660兆円     18.53兆円
2011年度    690兆円     19.34兆円
2012年度    720兆円     20.21兆円
2013年度    746兆円     21.14兆円
2014年度    774兆円     21.94兆円

(出典:木村剛著「キャピタル・フライト」,財務省データ)


一般会計歳出(平成14年度)

社会保障     182,795億円
公共事業      84,239億円
文教及び科学振興   66,998億円
防衛               49,560億円
恩給               12,727億円
経済協力            8,566億円
その他             70,587億円
地方交付税交付金 170,116億円
国債費      166,712億円

合計       812,300億円

一般会計歳入(平成14年度)

所得税      158,310億円
法人税      111,740億円
消費税       98,250億円
その他税収     99,860億円
その他収入      44,140億円
公債金収入    300,000億円(国債枠30兆円に相当)

合計       812,300億円

(出典:財務省ホームページ)

 
 「国」を会社に喩えると「個人」はその会社の社員ということになります.現在の状況は「会社(国)」の売上げが全く伸びていないのに「役員(官僚や政治家)」が「社員(国民)」の要望という名目で「会社(国)」に立派な社屋,福利厚生施設の建設や過剰なサービスの提供を押し付けた結果,「会社(国)」が大きな借金を抱えた状況のようなもの,と感じています.

 施設建設やサービス提供には資金が必要ですが,「会社(国)」には「資金」がありません.そこで「会社(国)」は「他の会社(外国)」からではなく「社員(国民)」に「借用書(国債)」により借金をして,それを元手に「社員(国民)」に様々な形で還元しています.

 幸か不幸かこの「会社(国)」は自分たちで「社内紙幣(円)」や「借用書(国債)」を発行できるので「社員(国民)」へ支払う給与やサービス提供のための資金繰りに困ることはありません.「社員(国民)」が欲しがるものは,台所事情も省みずに今後も借金を増やして「社員(国民)」に還元すると会社の古参「役員(官僚や政治家)」は息巻いています.

 必要な資金は新たに「借用書(国債)」を印刷して「社員(国民)」から借金すればいくらでも捻出できると言います.このシステムは「会社(国)」内で完結しているので,何となく「会社(国)」も「社員(国民)」もハッピーという摩訶不思議な「幻想」を抱いてきました.

 しかし,大きな問題にぶつかります.もし「借りたお金は返す」ことが基本原則と
すれば,「会社(国)」の借金は将来,返済する必要が出てきます.返済しなければ「会社(国)」と言えども経営破綻しますから,誰が返済するかという問題になります.

 「会社(国)」の経営が行き詰まった場合,古参「役員」は事前に準備して夜逃げするかもしれません.社内紙幣(円)」の価値は大幅に低下しますから,実質的に「社員(国民)」が持っている「社内紙幣(円)」の価値を下げることで返済することになります.

 「社員(国民)」にとって最も不幸なのは「会社(国)」の破綻がいつまでも明らかにならない場合かもしれません.この場合,「会社(国)」は「社員(国民)」に「上納金(税)」を収めさせる制度を活用します.この制度を使えば「社員(国民)」の資産を元手として「会社(国)」の借金返済に充てることも可能です.あえて「借用書(国債)」を出して借りる必要もありませんし,古参「役員」も夜逃げする必要がありません.

 もし「社員(国民)」がこのような事態を避けたいと思うのなら,「会社(国)」の役割を制限し,「会社(国)」から受けるサービスを削減するしかありません.「会社(国)」が「打ち出の小槌」ではないことは明らかです.

 これから先の厳しい時代に備えて「個人」としてできることは限られていますが,
明るい未来を開拓するためにも,「個人」が「国」と対等な立場で考えるとともに,「自立心」と「大局的な視野」を持って対処することが必要と感じています.

 ふと,米国・ケネディ大統領の就任演説(1961年)の一節を思い出しました.

And so, my fellow Americans: ask not what your country can do for you - ask 
what you can do for your country.

(そして我が友アメリカ国民よ,あなた方の国があなたのためにしてくれることを尋
ねるのではなく,あなたがあなた方の国のためにできることを尋ねなさい)


 新年早々の話題としてはどうかと思いましたが,明るい将来を再構築するため
に,「現状」をできるだけ大局的かつ客観的な視点から捉え,その上で「自ら考えて行動する」という自覚をもってこの一年を過ごしたい,という私個人としての抱負という意味合いですので何卒ご容赦下さい.

 次号より昨年からの継続ですが「エネルギー」について継続して考えていきたいと
思います.本年も何卒宜しくお願い申し上げます.

[文責:スリー・アール 菅井弘]

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