|
|
|
|
 |
No. 030 update 2002.11.15  PDF版(13.8 kbyte)
|
 |
 |
|
エネルギー(第14回) |
 |
 |
廃棄物燃料製造 |
 |
今回は｢廃棄物燃料製造｣について考えていきたいと思います． 廃棄物燃料製造とは，廃棄物（再生資源）を原材料として燃料を製造することで，代表的なものとしては廃棄物固形化燃料製造（英語ではレフュース・ディライブド・フュエル(RDF)），廃プラスチック再資源化等があります． まず，RDFについて考えてみたいと思います． 2000年6月現在では38ヶ所のRDF施設が国内で稼動しており，20ヶ所以上の建設中あるいは計画中の施設があります．これらの施設のほとんどは自治体により所有，管理されています．RDFのメリットはごみの減量化，石油の代替燃料，高品位燃料化，搬送保管に便利な成形，プラスチックごみ処理，無臭等である点とされてきました．当然のことですが，石油の代替燃料と考える場合にはエネルギー収支も重要となります．RDF製造の際のエネルギー収支RDF燃焼エネルギー (A) 4,500kcal/kg 投入エネルギー合計 (B) 3,176kcal/kg 再生産エネルギー (A)‐(B) 1,327kcal/kg 出典：ホームページ（http://www.kcn.ne.jp/~gauss/rdf/rdf2.html）藤田永治「ごみ固形燃料化とエネルギー回収システム」，『環境の計画』別冊特集 No.3, 28-33(1994)． RDFプラント建設には大手鉄鋼メーカーを始め多くの企業が参入しており製造方式には様々な方法が提案されています．その一例は以下のとおりです．��RMJ方式：RDF業界最大手・日本リサイクルマネジメント社の開発した金属などの除去後，粉砕し，600℃度で乾燥させ圧縮固形化する方式．��J-カトレル方式：スイスのカトレル社の技術で，粉砕したごみに生石灰を添加して水と反応させ，この時の熱を利用する方式． 一方，RDFに対しての問題点も多く指摘されています（http://www.kcn.ne.jp/~gauss/rdf/index.html）．その一つがRDFは｢ゴミ｣が起源であることから，燃やすとダイオキシン類その他の有害物質が発生する点です．また，RDFが廃棄物か燃料かという基本的な問題もあります．現在の廃棄物処理法には特に規定はありませんので引き渡しが有償なら燃料，無償・逆有償なら廃棄物と解釈されるようです． いずれにしてもRDF利用に関しては賛否両論があります．この問題に関してはリンク集（http://www.asahi-net.or.jp/~DH1F-MYS/kankyod51.html）等をご参照の上，ご自身でお考えいただければと思います． 次に廃プラスチックの再資源化について考えます． プラスチックの原料は石油で，主として炭素と水素からなる化合物です．プラスチックは基礎素材としてエレクトロニクスや通信，医療といった最先端技術や環境保全技術まで幅広く活用されています．これらのプラスチックについてはプラスチックリサイクルの基礎知識（http://www.pwmi.or.jp/pk/index.htm）に様々なデータが紹介されています．例えば国内樹脂生産量等は以下のとおりとなっています． 1990年度 2000年度国内樹脂生産量 約1,300万トン 約1,500万トン 国内樹脂製品消費量 約1,000万トン 約1,100万トン廃プラ排出量 約 550万トン 約1,000万トン(出典：生産量・通商産業省調査統計部 排出量 (社)プラスチック処理促進協会) 国内での生産量，消費量の最近10年間の変化に比べて，廃プラスチック排出量が急激に増加していることが明らかです．この原因の一つは包装容器で使われている廃プラスチックの増加にあると考えられます．例えば，(社)プラスチック処理促進協会が1995年に横浜市で実施した廃プラスチックの内訳として以下の報告があります．廃プラスチックの品目袋類 41.6％パック・カップ・トレー 18.7％ボトル類 14.8％ラップ・フィルム・シート類 6.8％その他の容器・包装材 12.7％容器以外のプラスチック製品 5.4％ 廃プラスチックは焼却処理や減容・埋設処理が行われますが，これらの再資源化（リサイクル）が「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進に関する法律」(1997年4月施行)に基づき推進されています．具体的な再資源化は，燃料として再利用するサーマルリサイクルと素材として再利用するマテリアルリサイクルの2つが中心です． サーマルリサイクルではプラスチックを圧縮・固化して固形燃料とする方法が多く採用されています．これらの固形化燃料はRDFの場合と比べると固化が容易で，かつ発熱量も4,000〜6,500kcal/kgと高い新燃料が得られるとのことです． ｢RDF｣や｢プラスチック再資源化｣としての｢廃棄物燃料製造｣のほか，有機物の腐敗・発酵により発生する無色・無臭の可燃性ガスであるメタンガスの利用も検討されています．これらは廃棄物燃料の一種ですが，｢バイオガス｣と呼ばれるように｢バイオエネルギー｣と捉えることもできます． いずれにしても｢廃棄物燃料製造｣の基本は，｢廃棄物｣としての発生が不可避であるならば，できるだけ有効に活用しようという点にあると考えます．しかし，｢廃棄物燃料製造｣が可能であることを理由に｢廃棄物｣発生抑制が不要ということにはなりません． 現在のペットボトルのような使い捨て方式がコスト的に有利かもしれませんが，リターナブル・ペットボトル(再資源化（リサイクル）ではなく，ビール瓶等と同様に再利用（リユース）するタイプのペットボトル）を社会が受入れる可能性は高まってきていると感じています． |
 |
[文責：スリー・アール 菅井弘] お願い：ご意見等がございましたら是非メールにてご連絡下さい．頂いたメールはサイトやメール配信記事に掲載することもありますので，あらかじめご了承ください．掲載時に匿名もしくはペンネームを希望の方はその旨を明記してください． |
 |
|
 |
