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No.012:30年間の変化(第9回)
交通
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No.011:30年間の変化(第8回)
再生可能エネルギー
No.010:30年間の変化(第7回)
電力
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No.009:30年間の変化(第6回)
エネルギー
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No.008:30年間の変化(第5回)
経済
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No.007:30年間の変化(第4回)
工業製品
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No.006:30年間の変化(第3回)
食料
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No.005:30年間の変化(第2回)
水
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No.004:30年間の変化(第1回)
人
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No.003:将来の社会像(第2回)
将来の社会像(第2回)
No. 011 update 2002.02.01 PDF版(14.5 kbyte)
今回は30年間の変化(第8回)として「再生可能エネルギー」について考えてみたいと思います. 前号でもご紹介しましたが,1977年にアメリカのエネルギー学者エイモリ・ロビンスは「ソフト・エネルギー・パス」という論文を発表し,世界で大きな反響を巻き起こしました.この「ソフト・エネルギー・パス」では,「エネルギーの需要(デマンド)面から見た適正配分」と「再生可能エネルギーの導入」が2大テーマとなっていました. 「再生可能エネルギー」については,厳密な定義ではないかもしれませんが一般に「一度に利用できる量は限られているが,その限られた範囲内で利用すれば枯渇しないエネルギー源」と説明されています.化石燃料や原子力,大規模水力などと異なり,環境負荷が小さいことが特徴で,海外では“Renewable Energy”と称されており太陽エネルギー、 風力エネルギー、 海洋エネルギー等を指しています。 日本では,「再生可能エネルギー」という言葉よりも「新エネルギー」 という用語が用いられています.この用語は日本独自の定義であり、 海外諸国では必ずしも通用しないことに注意する必要があります. 最近,「再生可能エネルギー」の利用がクローズアップされているのは,これらのエネルギーが脱化石燃料による二酸化炭素の排出低減や,脱原子力を進める際に不可欠と考えられているためです.第10号でも触れましたが供給サイドの新エネルギーは「再生可能エネルギー」と考えることができます. 需要サイドの新エネルギーに属するクリーンエネルギー自動車やコージェネレーション、 燃料電池は,高効率エネルギー利用技術として従来型に比べ一定のCO2排出削減効果はありますが、 使用時にCO2排出を伴います。 また,一次エネルギーではないため「再生可能エネルギー」には分類されません.しかし,燃料供給源として「再生可能エネルギー」を活用できる可能性もあり、極めて重要なエネルギー利用技術であることは間違いありません. 市民フォーラム2001の執筆した「再生可能エネルギーの持つ可能性」(http://www.green-web.ne.jp/conten/energy/ene0011.html)によると各国の再生可能エネルギーの一次エネルギーに占める比率は1996年実績で以下のとおりです.北欧諸国の中には,バイオマスなどにより一次エネルギーの10〜20%を供給している国があります. 1996年 2010年 日本 4.7% 7.5% 4.7%のうち3.4%が大規模水力アメリカ 5.3% 5.0% 大半が水力 カナダ 16.7% 18.1%イギリス 0.7% 0.7%フランス 6.5% 3.9%ドイツ 1.7% 2.1%イタリア 4.6% 5.2%デンマーク 7.0% 15.8% 水力を含まない スウェーデン 23.4% 26.5% 半分は水力以外(バイオマスなど)オーストリア 19.1% 25.6%出典 通産省総合エネルギー調査会新エネルギー部会(1999/12/15),IEA統計など 国内における新エネルギーの普及実態に関しては、 資源エネルギー庁が取りまとめた導入実績の報告があります.1997年度実績値によると、 合計で原油換算で701万klであり、 石油、 石炭、 原子力等を含む一次エネルギー総供給量の1.2%を占めています。 技術ごとの供給力ベースでみると、 紙・パルプ製造過程より排出されエネルギー利用される黒液・廃材等が全体の70%近くを占め、 次いで太陽熱発電,廃棄物発電となっています. エネルギー分野 1997年度 2010年度 (実績) (目標)太陽光発電 9.1万kW 500万kW風力発電 2.1万kW 30万kW温度差エネルギー等 3.7万kl 58万kl廃棄物発電 95万kW 500万kW太陽熱利用 104万kl 450万kl廃棄物熱利用 4.6万kl 14万klその他 489万kl 592万kl一次エネルギー総供給 701万kl 1,910万klに占める割合 (1.2%) (3.1%) 注)温度差エネルギーとは,夏季は外気温よりも温度が低く,冬季は高い河川水や海水等の有する熱エネルギーを活用することを指します.その他とは,黒液(製紙工程における副産物),廃材等の導入を指します. 黒液(こくえき)について,私自身知識がありませんでしたので調べてみました.木材(チップ)は,セルロースが主成分の繊維部分と繊維同士を接着する役割をもつリグニンなどからなります.クラフトパルプ(化学パルプの一種)をつくるには,このチップに薬品(「白液」)を加え,蒸解釜にて高温高圧下で蒸煮し,繊維をとり出します.このとき,繊維以外のリグニンなどが「白液」中に溶け出し,「黒液」と呼ばれる溶液となります. この「黒液」は,紙を製造する上で非常に重要なエネルギー源として利用されています.クラフトパルプ製造過程で得られる「黒液」(濃度20%程度)は,そのままでは燃料とはなりませんが,エバポレーター(蒸留器)で70%程度まで煮詰めると,回収ボイラーでの燃焼が可能となります.「黒液」中の有機分を燃焼させ,発生するエネルギーを蒸気・電力に変換し,製紙工場内で利用しています.すなわち,「黒液」はパルプ製造過程で産まれる副産物による「バイオマス」エネルギーと位置付けることができます. (出典:日本紙共販 http://www.nipponpapersales.co.jp/dept_yoshi/kamidasu/kamidasu01.html#1_6) 一方,従来型エネルギーの新利用形態の実績と目標は以下のとおりです.エネルギー分野 1997年度 2010年度 (実績) (目標)クリーンエネルギー自動車 1.8万台 365万台燃料電池 1.2万kW 220万kWコージェネレーション 430万kW 1,002万kW 注)クリーンエネルギー自動車とは,電気自動車,天然ガス自動車,メタノール自動車,ディーゼル代替LPG自動車を指します. 2010年度までに「太陽光発電」,「クリーンエネルギー自動車」や「燃料電池」は桁違いな規模への成長が目標となっています.これに比べ「廃棄物発電」や「廃棄物熱利用」等が予想以上に低い目標と感じました.このような目標を設定した根拠は確認しておりませんが,いずれにしても「再生可能エネルギー」や「新エネルギー」と呼ばれるエネルギーが重要であることは明らかです. 将来の飛躍が期待されますが,「再生可能エネルギー」への「過剰な」思い入れはある意味で危険と考えます.現在,実用化されているエネルギー供給技術には例外なくそれぞれ利点と欠点があります.「再生可能エネルギー」と言えども欠点がない訳ではありません.全てのエネルギー問題が「再生可能エネルギー」のみで解決できるというものではありません.このような点を十分に考慮した上で「再生可能エネルギー」の着実な発展,特に民生用エネルギー供給の主役となることを期待したいと思います.
[文責:スリー・アール 菅井弘]
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