No.012:30年間の変化(第9回)

交通

No.011:30年間の変化(第8回)

再生可能エネルギー

No.010:30年間の変化(第7回)

電力

No.009:30年間の変化(第6回)

エネルギー

No.008:30年間の変化(第5回)

経済

No.007:30年間の変化(第4回)

工業製品

No.006:30年間の変化(第3回)

食料

No.005:30年間の変化(第2回)

No.004:30年間の変化(第1回)

No.003:将来の社会像(第2回)

将来の社会像(第2回)

No. 008 update 2001.12.15 PDF版(12.8 kbyte)

30年間の変化(第5回)

経済

 今回は30年間の変化(第5回)として「経済」について考えてみたいと思います。

 まず、最初にちょっと余談です。ホームページを検索しているうちに面白いサイトに出会いました。建野友保氏が運営している「道草オンラインマガジン」で1970年と2000年の様々な比較データ等が以下のURLで紹介されています。
http://www.onfield.net/1970/index.html

 さて、上記で紹介されているデータや経済産業省のホームページに紹介されているデータから比較的身近な経済指標について1970年から2000年前後までの推移を以下に示します。

国民総生産GNP(兆円) 

1970年  73.188
1975年  148.17
1980年  243.256
1985年  327.006
1990年  444.687
1995年  501.575
1996年  516.273
1997年  528.619
1998年  522.774
1999年  518.914
2000年  518.257(1970年の約7倍)

実質国内総生産GDP成長率(%)

1970-80  4.4
1980-90  4.0
1990-98  1.4
1999   0.3(1970年の約1/15)

※「個人ないし企業で付加価値がつくられるが、付加価値は売上から原材料費や光熱費など費用を差し引いた部分である。より具体的には給与や粗利益であり、この付加価値の総計を厳密には国内総生産(GDP)と呼んでいる。これに給与や利益の海外への送金・受取分を調整したのが、国民総生産(GNP)である。」

政府の一般会計予算

1970年  7兆9,498億円 
1998年  77兆6,692億円(1970年の約10倍)

国・地方の債務残高の変遷

1970年  7.3兆円 
1975年  32.1兆円 
1980年  118.2兆円 
1985年  204.8兆円 
1990年  265.8兆円 
1995年  410.1兆円 
2001年  666.4兆円(1970年の約90倍)

完全失業率(%)

1970年   1.2
1980年   2.0
1990年   2.1
2000年   4.7(1970年の約4倍)

設備投資費(千億円) 

1970年  156.621
1975年  243.779
1980年  388.782
1985年  538.675
1990年  885.016
1995年  725.829
1996年  740.611
1997年  830.642
1998年  801.095
1999年  746.526
2000年  764.473(1970年の約5倍)

月給

1970年  75,670円 
1999年  396,291円(1970年の約5倍)

月間労働時間

1970年  186.6時間 
1999年  153.5時間

企業倒産件数

1970年  9,655件 
1999年  15,460件(約1.6倍)
※ピークは1984年の20,841件

全国市街地価格指数(90年を100とした指数)

1970年  22.8 
1999年  79.3(約3.5倍)
※ピークは91年の110.4

新設住宅着工戸数

1970年  149万1千戸 
1998年  118万戸 
※ピークは1972年の185万6千戸

 これらの数字をどのように解釈するかはそれぞれの立場で異なると思いますが、私一個人としての解釈は以下のとおりです。

 国民総生産GNPは、1995年くらいまで1970年の約7倍に拡大していましたが、1996年以降はほとんど成長のない「ゼロ成長」時代に入っています。サラリーマンの給与の伸びから見ると約5倍ですから、経済成長と国民配分には多少のズレがあります。

 一方、政府の一般会計予算は約10倍に拡大するとともに、国・地方の債務残高は約90倍に膨れ上がっています。この残高については、あまり問題ではないという経済を専門とされている方のご意見もあります。専門的には確かにそうなのかもしれませんが、庶民の感覚から言えば将来への不安材料となるは当然と思います。

 特に問題なのは借金をした世代と返済を強いられる世代が異なると感じられることにあります。本当はこれらの借金で多くの道路や建物、施設ができて現在利用できる訳ですから、借金を返済する世代も利益を享受します。ただ、お金を払わされるくらいなら、使わないからこんなものいらない、と言われそうなものも多いように見受けます。

 最近、高速道路建設が話題になっていますが、「高速道路」自体が悪いのではなく、「高速道路」を利用のためではなく、建設自体を目的としたことが誤りのように思います。利用者がためらうような料金を設定し、利用頻度の少ない道路に多額の税金を投入することは極めて滑稽です。

 日本は経済成長の面では「アメリカ」型を夢みながら、一方で「ヨーロッパ」型の成熟型社会システムに憧れているように思えます。私の誤解かもしれませんが「アメリカ」は「成長」により、「ヨーロッパ」は「均衡」により社会システムを維持しようと考えているように見えます。

 「人間」以外に十分な国内資源を持たない日本ではどちらかというと「成長の限界」や「ゼロサム社会」を意識した社会である必要があると思います。「成長路線」への復帰を目指すのではなく、「ゼロ成長」でも充実感を得られる社会とは一体どのような社会なのか、私なりに考えてみたいと思います。

[文責:スリー・アール 菅井弘]

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