No.012:30年間の変化(第9回)

交通

No.011:30年間の変化(第8回)

再生可能エネルギー

No.010:30年間の変化(第7回)

電力

No.009:30年間の変化(第6回)

エネルギー

No.008:30年間の変化(第5回)

経済

No.007:30年間の変化(第4回)

工業製品

No.006:30年間の変化(第3回)

食料

No.005:30年間の変化(第2回)

No.004:30年間の変化(第1回)

No.003:将来の社会像(第2回)

将来の社会像(第2回)

No. 005 update 2001.11.01 PDF版(13.7 kbyte)

30年間の変化(第2回)

 今回は30年間の変化(第2回)として「水」について考えてみたいと思います.

 日本の水資源については下記の国土交通省水資源部のホームページ
http://www.mlit.go.jp/tochimizushigen/mizsei/wrd.htm
や昭和50年以降の全国における水使用量の変遷
http://www.mlit.go.jp/tochimizushigen/mizsei/hakusyo/h13/2.htm#2-2
が参考になります.

 この中に1970年の数字はありませんが昭和50年(1975年)の水使用量として以下のようなデータが記載されています.

生活用水114億m3
工業用水166億m3
農業用水570億m3

合  計850億m3 

 一方,最新データとしては平成10年(1998年)のものがあります.

生活用水164億m3
工業用水137億m3
農業用水586億m3

合  計887億m3 

 これらのデータから「水」使用量としては,ここ25年(残念ながら30年前の数字を見つけることができませんでした)で5%未満の微増という状況です.ただ,内訳でみると以下の生活用水使用料の推移データから明らかなとおり「生活用水」は漸増の状況にあり,私たちの日常生活が便利になった分だけ使用量が増加していると言えます.

生活用水使用量の推移
http://www.wec.or.jp/center/shiryou/image/download/B-13.pdf

 いずれにしても「水」資源が有限であり,使用量を増やすことは供給面から難しいことが容易に理解できます.したがって,「水」の使用量を削減する必要が出てきた場合には生活用水使用量の削減か,あるいは水のリサイクル利用が必要となります.ただし,第4号でご紹介したとおり日本に限れば今後人口が減少する方向であり,将来,水使用量の削減も十分可能と思われます.

 それから余談ですが,次の世帯人数別水道使用量のデータが結構興味深いものでした.http://www.wec.or.jp/center/shiryou/image/download/B-14.pdf
核家族化が進んで世帯人数が減少すると,水資源の利用効率が悪くなります.確かに昭和45年頃と比較しても世帯人数は大幅に減少しています.2人家族でも4人家族でもお風呂の水の交換は1日1回でしょう.4人家族だから途中で交換することはたぶんありません.

 資源やエネルギーの節約は,技術的な対応だけでなく,家族構成という社会的な要因を見直すことでも実現できます.我が家も家族5人ですが,いわゆる核家族です.ただ,お互い負担にならない形で家族のあり方を再考する必要があるのかもしれません.それ以上に家庭教育の面からも意味あることなのかもしれません.

 ところで,日本でも渇水は恒例行事化しています.以下のデータからも明らかなとおり特に東京は他の世界主要都市と比較して1人当たりの貯水量としてはかなり心もとない状況です.
http://www.wec.or.jp/center/shiryou/image/download/B-08.pdf

 それでも,とりあえずは節水等で何とか対応できる余地があるのかもしれませんが,地球全体で見ると状況は非常に厳しいようです.水は有限で偏在している(有る所と無い所の差が激しい)ため,人口が増加すると,一人当たりの供給量を削減せざるを得ません.実際に,1970年以来,世界人口が18億人増加したため,世界のひとり当たりの水供給量が3割以上減少したと言われています.

 現在,26カ国(合計人口2億3200万人)が極端な水不足状態にあり,80カ国で水の供給が不十分で,世界の人口の約40パーセントが日々の水の確保に苦しんでいるとのことです.これらの数字の出典については私自身で確認したものではありませんが,「砂漠化」等の問題も耳にすることが多い状況ですから,地球全体としての水資源の確保は極めて大きな課題と言わざるを得ないように思います.

 以上,「水」の使用「量」を中心に考えてきましたが,「質」の問題の方が本当は深刻なのかもしれません.最近,家庭用の浄水器やペットボトル入りの「水」が良く売れているのも「質」に対する漠然とした不安が原因と思います.以下のようなホームページが参考になりますので,是非ご一読下さい.

日本の水道(水道技術研究センター)
http://www.mizudb.or.jp/
水道水質データベース(全国水道事業者)
http://www.jwwa.or.jp/mizu/
水文水質データベース(国土交通省)
http://wdb-kk.river.or.jp/zenkoku/title.html
水道水の水質基準(全国水道事業者)
http://www.jwwa.or.jp/mizu/yougo/menu.htm
東京都水道局
http://www.waterworks.metro.tokyo.jp
ミツカン水の文化センター
http://www.mizu.gr.jp/

 ちなみに,我が家ではとくにペットボトル入りの水等へのこだわりはありません.できるだけ様々な水を飲むようにしています.正直言って現代社会では安全なものはない,と割り切って考える必要があると思います.「安全」と考えていたものが実は「危険」で,その逆も十分あり得ます.様々な水を飲めば,ある水には有害なものが微量含まれていても,別の水が無害であれば体内で希釈されます.とにかく,様々な飲み物や食料を薄く広く摂取することが一つの自衛策と思えてなりません.そこで偏らない食生活を優先させています.ちょっと不安もありますが.

 結局,「上水」の話題ばかりになってしまいました.「下水」の話は改めて別の機会に考えてみたいと思います.

[文責:スリー・アール 菅井弘]

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