No.032:エネルギー(第16回)

燃料電池

No.031:エネルギー(第15回)

氷雪冷熱

No.030:エネルギー(第14回)

廃棄物燃料製造

No.029:エネルギー(第13回)

廃棄物熱利用

No.028:エネルギー(第12回)

太陽熱利用

No.027:エネルギー(第11回)

バイオマス

No.026:エネルギー(第10回)

廃棄物発電

No.025:エネルギー(第9回)

風力発電

No.024:エネルギー(第8回)

太陽光発電

No.023:エネルギー(第7回)

地熱発電

No. 004 update 2001.10.15 PDF版(13.8 kbyte)

30年間の変化(第1回)

 今回から「将来の社会像」に関するイメージ造りの参考として,この30年間での様々な分野での変化について考えてみたいと思います.ただ,現実には考えておく必要がありそうなことがあまりに多いというのが実情です.

 そこで,あくまでもとりあえずですが,手始めとして「人」,「水」,「食料」,「工業製品(自動車以外)」,「経済」,「エネルギー」,「電力」,「再生可能エネルギー」,「交通」,「廃棄物」,「安全」,「情報」等の観点からこの30年間の変化を想い起こしてみたいと思います.もちろんこれら以外に「福祉」,「教育」,「財政」,「行政」等々,重要な観点は数多くあります.後者については別の機会に考えたいと思います.

 さて,今回は「人」について考えてみます.「人」の問題を考えるに当たっては,「数(人口)」と「属性(何らかの観点からの特徴付け)」が重要と思います.

 「数」については,総務省統計http://www.stat.go.jp/data/jinsui/ や,国立社会保障・人口問題研究所,http://www.ipss.go.jp/Japanese/newest/newesti91.html のホームページが参考になります.これらの情報からこの30年間の日本での人口動向の概数は以下のようになっているようです.

1970年(昭和45年) 103,720千人
1980年(昭和55年) 117,060千人
1990年(平成2年)     123,611千人
2000年(平成12年)  127,030千人

 人口の観点から見るとこの30年間の人口増加率は1970年の人口を基準にすると22〜23%の増加と言えます.ただ年率で見ると1%未満の増加ですから,日本の人口に関する限りそれなりに安定していたと考えてよさそうです.したがって,この30年間に「水」や「エネルギー」の消費量が大幅に増えたとすれば,それは一人当たりの消費量の増加が原因と考えることができると思います.

 参考ですが,将来の日本における人口予測では2007年(平成19年)の127,782千人をピークに減少に転じ,2050年(平成62年)には高位予測で110,962千人,低位予測で92,309千人,中位予測で110,496千人となっています.さらに2100年になると高位90,085千人,低位50,884千人,中位67,366千人と推計されています.この数字を見ると,100年後には日本の人口が場合によっては現在の半分以下になる可能性があるわけで,少子化対策が叫ばれているのも理解できます.

 これまた余談ですが,江戸時代の人口は,1600年の約12,000千人から,1721年の八代将軍吉宗の頃には約31,000千人と20年間に倍増し,明治初期には35,000千人台,1921年には50,000千人台,1936年には70,000千人台と大幅に増加してきました.

 今後100年間に予想される「人口」減少は,日本はとってある意味では問題なのですが,少なくともエネルギーや資源利用の観点からは一人当たりのエネルギー消費量を現状維持に保つだけでも,消費量全体としては低減できることを意味します.

 次に,属性すなわちどのような観点から「人」を特徴づけるかという問題です.一般的に話題になるのは年齢です.先のhttp://www.ipss.go.jp/Japanese/newest/newesti91.html の推計では年齢を年少人口(0〜14歳人口と定義),生産年齢人口(15〜64歳人口と定義),老年人口(65歳以上人口と定義)の3区分で整理されています.これによると1970年頃の生産年齢68%程度(実績),2000年で67%(中位推計)でほとんど差はありません.

 2021年には59.4%まで減少し,その後やや増加して2028年には59.6%,その後再び減少傾向に入り,2050年には54.6%となると推計されています.この推計値をどう考えるかは各人各様と思いますが,社会の維持に必要な生産量を確保し,余分な生産は行わずに済むシステムを構築できれば十分対応できるようにも思えます.生産量の増加で社会を豊かにするのではなく,限られた生産物を無駄なく効率的に配分・活用することでそれなりに満足感の得られる生活を目指すような発想の転換が必要な気がしてなりません.

 この他,「人」の属性として都道府県別や性別等から見た推移も参考になります.これらの数値は先にご紹介したホームページ等にも掲載されていますので是非ご確認下さい.興味深い推計値が掲載されています.

 これまで国内の「人」の問題について述べてきましたが,やはり世界の動向についても知っておくことが必要と思います.世界の人口推計については様々なサイトで扱われていますが,例えば世界人口カウンタ(http://www.ibiblio.org/lunarbin/worldpop) というのがあります.これを使って調べてみると約30年前の1970年時点では約39億人,1980年約45億人,1990年は約52億,そして現在が約62億人と大幅に増加していることがわかります.そして2035年には100億人を超えると推計されています.

 米国政府機関による別の統計では2050年で約91億人とされており,若干少なめですが何れにしても大幅な増加が予想されることは確かなようです.これは日本国内で問題視されている少子化以上に深刻な問題と思えてなりません.日常生活ではどうも実感できませんが,世界全体としての今後の「水」「食料」「エネルギー」等の確保は極めて大きな難問と考えます.

[文責:スリー・アール 菅井弘]

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