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No. 003 update 2001.10.01 PDF版(12.6 kbyte)

将来の社会像(第2回)

将来の社会像(第2回)

 平成12年5月に「循環型社会形成推進基本法」をはじめ,「廃棄物処理法の改正法」,「資源有効利用促進法」,「建設リサイクル法」,「食品リサイクル法」,「グリーン購入法」という6つの法律が制定され,「容器包装リサイクル法」が施行されました.

 平成13年4月からは「家電リサイクル法」もスタートしました.これらの施策は,産業界としての「後始末」体制の確立が中心となっています.もちろん,「リユース(reuse)」や「リサイクル(recycle)」の推進は重要です.しかし,より本質的には「廃棄物発生の回避」や「耐久性」のある製品の「長期間」の使用を受容できる社会を構築できない限り,真の「循環型社会の形成」は難しいのではないのでしょうか.

 環境問題の先進国として欧州の例が引き合いに出されます.特に欧州の経済大国である「ドイツ」をモデルとすることが多いようです.私自身の少ない体験でも,ドイツをはじめとする欧州の国々は大変「地味」な社会という印象があります.24時間営業のコンビ二も,自動販売機もほとんど見た記憶がありません.商店街の店じまいも早いし,ちょっと物足りないくらい静かです.

 30年くらい前の「日本」もこれと似たような状況であったような気がします.社会基盤の異なる国であるドイツの例はあくまでも参考程度とし,自分たちの社会像は自らの経験をベースに構築できないものか,と思います.江戸時代を循環型社会の理想とする意見もありますが,江戸時代を現実に体験した方はいません.現実的に「江戸時代」を再現できると考えている人はいないと思います.それに比べ,「30年前」の社会への回帰(現在の生活を全て捨て去るというのではなく,基本的な生活観を取り戻すという意味です)ならできるかもしれない,という気がします.

 30年前(35歳以上の方は実感できるイメージと思います) には自家用車はほとんどなかったし(少なくとも私の育った家庭では),ファミコンや携帯電話もない時代でそれほど便利な時代ではありません.ただ子どもたちは日が暮れるまで外遊びに明け暮れ,貧しさの中にもそれなりも充実感があったのではないかと思います(単なる美しき想い出に過ぎないのかもしれませんが).

 モデルとしての「ドイツ」はほとんどの人にとっては体験ではなく耳学問ですが,「30年間の日本」は少なくとも半数以上の方が現実に体験していることで,イメージも持ちやすいと思います.ただ35歳以下の方は物理的に「30年前」のイメージを持つことは無理ですから,せめて10代の頃のことを想い出してみて下さい.

 別に「30年前」の生活に戻ろう,主張しているのではありません.この僅か数10年の間に起きた日本の生活,生産,経済,エネルギー需要等の変化を思い出すことで,「将来の社会像」に関するイメージ造りの参考になればという意味合いです.区切りの良さも考えて,これから1970年と最近の状況を様々な観点から比較することか始めたいと思います.

[文責:スリー・アール 菅井弘]

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