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まとめ

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廃棄物

No. 002 update 2001.09.15 PDF版(11.6 kbyte)

将来の社会像(第1回)

将来の社会像(第1回)

 正直申し上げて,私自身,現時点で「原子力」「エネルギー」や「廃棄物」の問題をどう扱うべきかよく分かりません.一般論としては,「原子力に依存しない社会」,「ダムに依存しない社会」,「産業廃棄物処分場の建設反対」,「もっとリサイクルをしよう」等々の主張はある程度理解できるのですが,私たちは「木を見て,森を見ない」状況に陥っているような気がしてなりません.

 ある問題を否定することは可能なのですが,それに置換わる回答を見出せない状況にあるように思います.私は「エネルギー」「資源」「環境」「廃棄物」の問題は,各々を分けて考えるのではなく,全体のバランスに配慮しながら取扱う必要のある問題と感じています.ただ「安全」「安全保障」「経済性」「社会の整合性」等への考慮も必要であり,さらには既得権等のしがらみも多く一層解決が困難なように感じています.

 それでは,どのようにしてこの困難な問題に立ち向かうか,ということになります.最初から立ち向かわないという選択肢もあります.なるようになれ,という姿勢です.結構,このような考え方は現代社会では主流かもしれません.

 一方,前述のような困難な問題に正面から対処しようとすると,一体どのような社会の構築を目指すのか,というイメージの明確化がまず必要です.もちろん,このイメージは十人十色,千差万別,多種多様です.各自の持つイメージが異なることは当然で,それを画一化しようというのは無理があります.ただ,ある種の大枠としての共通イメージの創造ができれば解決の出発点となると考えます.

 社会においては,人々が何とか最低限の生活が維持できることが前提です.その基礎となるのが「水」と「食料」と考えています.そして,ある程度の生活レベルを維持するための「エネルギー」も不可欠でしょう.さらには社会としての「安全」の確保も重要です.

 これらを前提にプラスアルファを加えることで「豊かな生活」が実現できる訳ですが,「豊かさ」をどうとらえ,どの程度の充足感で良しとするかが問題です.基本的に欲求には際限がありませんから,どの程度充足された状況で「そこそこ満足」と感じるか,ということになります.

 身の回りにある様々な工業製品は一度使うと離せなくなります.その典型が携帯電話です.私自身も携帯電話の恩恵を実感しています.一方,「IT革命」と称して携帯電話の技術進歩を急ぐあまり,「便利さ」を少し増大させるために,機種の買替えを増長する雰囲気があります.

 これは携帯電話に限らず,自動車,電化製品等に共通の現象です.メーカーは,できるだけ売上げを伸ばすために頻繁にモデルチェンジを行い,既製品の陳腐化を誘います.この結果,多くのまだ使えるのに廃棄される製品が巷に溢れます.これは別にメーカーだけの責任ではありません.少なくとも現時点では競争に勝ち生き残るためにはそうせざるを得ない状況と思います.

 いずれにしても,個人的には工業製品の価格があまりに安すぎるように感じます.工業製品が市場に不足していた時代にはできるだけ価格を下げ,多くの人々が購入し易いように努力してきたのは非常に価値あることと思います.しかし,時代が変り,今は物質的にそれなに満たされている今日は別の価値観を確立することが必要と考えます.

 すなわち,これまでのような買替え需要を促進しなくとも成立するような社会へと構造を変える時期にあるように思います.メーカーはできるだけ長持ちする製品を十分採算が取れる金額で市場に出し,極論を言えば製品1台あたりの利益を2倍確保できるような価格設定とし,販売台数を半減しても,メーカーの低下が生じることのない体制は確立できないものでしょうか?このような社会では「ストック(在庫)」量は維持され,現在と同等の「豊かさ」は維持できる一方で,「フロー(投入)」量が半減できるため様々な観点から負荷の少ない社会が構築できるのではないか,と感じています.

 日本に限らず多くの国々は計画経済社会ではありませんから,供給を強制的に制約することはできるだけ避けるのが原則と思います.したがって,変革はあくまでもユーザーのニーズに基づき促進されるのが理想と言えます.結局,社会を変革する原動力は購買行動にあるように思います.ユーザーが製品を長期間使うことを望めば自然にメーカーはそのような製品を市場に出すようになる,と考えます.

 忘れてならないのは,大部分の「製品」の多くは最終的には「ゴミ」になることです.「ゴミ」をリサイクルすることは重要ですが,そのためには膨大なエネルギーと更なる資源の投入が必要です.「ゴミ」を減らす最善の方法は,つい一昔まではあたり前のことであった「物を大切に使う」社会のように思います.

[文責:スリー・アール 菅井弘]

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